会社を後継者に引き継ぐ事業承継支援の仕事内容とは

事業承継・再生
回答いただく専門家は、事業承継を得意とした中小企業診断士であり、相澤経営コンサルティングオフィスの代表 相澤 英生氏です。

Q.事業承継支援とは具体的にどんなことをするんですか?

事業承継は今でこそメディアでも目にする事が多くなってきたのではないかと思いますが、まだまだ言葉としては定着していない、馴染みが薄いのではないかなと思います。

簡単に言いますと、この事業承継とは、経営者の世代交代の事です。日本の多くの企業は中小企業、小規模事業者が占めていますけども、この経営者の方々がこの所高齢化が進んでいます。

しかしながら、なかなか後継者が見つからない、あるいはどのように後継者にバトンタッチしていけば良いのかわからないといった悩みを抱えている経営者の方々が多くいらっしゃいます。

こうした方々のお悩みに答えて、世代交代がスムーズにいくようにサポートしていくのが、この事業承継支援という仕事になります。

Q.事業継承支援を始めたきっかけは何ですか?

この事業承継というテーマは、今日本でも大きな問題となっています。その中で私自身、まぁ年齢を言ってしまうとアレなんですが50代前半という事で、今の企業経営者の方々と後継者の方々のちょうど中間くらいの年齢です。そのため、両方の立場が分かり、双方の橋渡しになれるのではないかという事でこの仕事に積極的に取り組もうと考えた次第です。

Q.事業承継支援と経営コンサルタント業務との違いは?

事業承継支援と経営コンサルの違いは、なかなか難しい問題なんですけれども、経営コンサルの場合には、比較的「この課題、この問題点を解決したい」というテーマが決まった事に対しての改善であったり、あるいは支援であったりという、言わばピンポイントのサポートが多いのではないかと思います。

これに対して事業承継というものは、企業全体、事業全体のバトンパスという事になりますので、とても幅が広く、総合的に見る事が求められます。こうした所が非常に大きな違いなのではないかと思っています。

Q.事業承継にどんな悩みを持った人がよく相談にきますか?

いろいろな悩みを持った方がいらっしゃいます。まず一つは、後継者がいないという場合です。この場合には、じゃあどなたに会社、事業を引き継ぐのかという所からご相談を受けさせていただく所から始まっていきます。

また、後継者がいる方が相談に来ることもあります。例えば身内のお子さんであったり、あるいは親戚であったり。こうした後継者が決まっている、あるいは候補者がいるといった場合には、具体的にどのように事業を承継していけば良いのか、バトンパスしてけば良いのかという所を悩まれている方が多くいらっしゃいます。

従来、この事業承継と言いますと、多くの場合には資産の承継でした。例えば株式をどうするか?といった悩みが中心になっていたんですが、現在国としてこの事業承継の問題への取り組みは、そもそもの経営資源である、社長の持つ信用力であったり、これまで会社を支えてきた技術的なものであったり、サービスの強みなども対象になってきています。

こうした目に見えないものをきちんと引き継いでいかなければいけない、きちんと明確化して見える形にして、誰から誰に引き継いでいくのか?という事をサポートさせていただいております。

Q.事業承継は赤字でも相談に乗ってもらえますか?

事業承継というのは、赤字だろうと黒字だろうと全ての企業・事業に共通するテーマです。ですから赤字かどうかはあまり区別せずに、お気軽に専門家に相談いただくという事が必要かなと思っています。

その意味で何か準備しなければいけないかという事なんですけれども、まずは「事業を引き継ぎたいんだ、これからどういう風に取り組んでいけば良いのか?」といった段階でも結構ですので、どんどん相談していただく事が重要ではないかなと思っています。

Q.事業承継の仕事の流れを教えてもらえますか?

まずはその会社・事業の全体像を把握することです。これはヒアリングが中心になりますけれども、そこから話を始めさせていただいています。

ピンポイントに決算書を見て、「数字はどうの」「売り上げがどうした」という事ではなく、どのような思いを持って事業を始められたのか、そしてどんなご苦労をされて、上手くいった時にはどんな事があったのかヒアリングします。

例えば、今経営が思わしくないといった場合には、どのような点にお悩みがあるのか、そうした所を丹念に聞き出すという事を心掛けています。

こうした事によって、例えば今経営が上手くいっていない厳しい状況にある場合でも、その中に見えない強み、気付いていない強みをきちんと見える形にして、経営者の方に気付いていただいて、それをきちんと後継者に繋いでいただけるようにご支援するというのがこの仕事の一番のポイントではないかなと思っています。

Q.事業承継はどんな人に向いている仕事だと思いますか?

この仕事の取り組みというのは、非常に幅が広いです。深く広いと言った方が良いかもしれません。そんな仕事の取り組みになっています。

例えば法律的な知識や財務面の知識のみならず、後継者の息子さん、お子さんといった場合に親子関係も含めてお話させていただく事も決して少なくありません。

こうした所である意味人情味あふれると言いますか、お話を聞いてご相談者さんと正面から向き合える姿勢が必要かなと思っています。

Q.事業承継のプロになるには資格が必要ですか?

私はこの仕事には中小企業診断士という資格を持って携わらせていただいています。この事業承継という仕事は、例えば株式や財産の承継といった所であれば、公認会計士や税理士など、別の専門家のサポートが必要になります。

また、会社の代表者変更にあるような法的な手続きになると、弁護士や司法書士の専門家の支援が必要になってきます。私達中小企業診断士というのはこうした事業承継の仕組み、流れ、全体を押さえて、円滑・スムーズにバトンパスが出来るようにコーディネートする事が必要になってきます。

ですから中小企業診断士という資格が無くても出来る事もあろうかと思いますけれども、やはり幅広い知識を持った立場という事では中小企業診断士の資格が非常に役に立つのかなと思っています。

また様々な検定資格という形で事業承継に関する物もありますので、検定資格を受ける事でより専門性を深める事も十分に可能かと思っています。

Q.事業承継の仕事に興味がある人に何かメッセージはありますか?

事業承継という問題は、今国をあげて大きな課題として捉えられています。本当に多くの中小企業、小規模事業者の経営者の方がこの問題に直面しています。という事はそれだけ支援するサポートする人の数が求められているという事でもあります。

私が言うのも何ですけれども、一人でも多くの仲間が増えて、そして日本の企業が廃業という残念な結果に向かわないように良いものをきちんと残していく事にやりがいを感じていただける仲間が増えていくと良いなと思っています。

Q.最後にユーザーに向けて自己PRがあればお願いします。

悩んでいたらまずご相談にいらしていただきたいなという事です。多くの場合親子であってもなかなか会話が出来ていない、例えば経理を担当されている奥様を通じて、「おい、ちゃんとやっているか?」。そして「ちゃんとやっているって言っといて」。こういった親子が直接やりとりしない会話になってしまっている場合も少なくありません。

ですから、そうした親子や、先代と後継者のコミュニケーションの橋渡しという意味でも、私達のような専門家を是非活用していただいて、円滑・スムーズな事業承継が出来れば良いなと思っています。